【CG】建築化照明をリアルタイムシミュレートする【UE4】
建築化照明も随分一般的?になってきた今日ですね。
今日のちょっと凝った住宅をみるとシーリングライトはまずなくて、ほぼ建築化照明とダウンライトから成るライティングとなっていて、あのかつての青白くギラギラした蛍光灯によるものとは一線を画しています。
リアルタイムCGでもそこそこちゃんとできます。
間接光がいい加減だったり、ライティングのビルドをしたほう当然がきれいではありますが、UE4の何がいいって、光の広がり方をリアルタイムで確認する目的においてはUE4のクオリティはかなりのもので、ミリ単位の微調整をシミュレートできますから、これらのリアルタイムCG環境のおかげで作業時間の短縮にかなり貢献しているのではないでしょうか。
ビルド→微調整→ビルド→微調整→・・・なんてトライアンドエラーに時間を費やす必要はないんですね。
リアルタイムレンダリングだとちょっとハードルが高かった建築化照明。今後リアルタイムレイトレーシングが普及しますから、このあたりはもっとシミュレーションの精度が上がりますね。
建築化照明とは?
電球が直接見えない、壁の隙間などから光が漏れるような照明です。
コーブ照明(Cove Lighting)と言うこともありますがほぼ同じです。ちゃんと言うとコーブ照明は天井を照らすもので、コーニス照明は壁を照らす・・・などと区別ありますが、今回は全部「建築化照明」という語句で話します。
やってみよう
施工をそのまんまやるだけです。
今回はポイントライトを棒状に変形させて置いてみましょう。
説明では5mの蛍光管1本で作ってしまいましたが、より厳密にするのであれば1m×5本とかでやるのもよいと思います。
なおUE4.24くらいからRect Light(面光源)が追加されていますから、LEDバーライトとかを使う場合はこちらを使うのがいいかも。
動画版
1.スタジオを作る
まあまずは部屋を作りましょう。サクッと。
次にリフレクションキャプチャを置きましょう。
この部屋の場合は回転(X, Y, Z)=(90, 0, 90)にするとちょうどよいです。
電球の半径[Source Radius]=2にしてみました。(=Φ4cm)
[Soft Source Radius]=2にしてみます。
電球の長さ[Source Length]は5mなので「500」cmとします。
光の強さは[Intensity]で、単位は初期設定はCd(カンデラ)です。お好きに合わせます。
ちなみに単位の変更は[プロジェクト設定]→[レンダリング]→[Default Settings]の[ライト単位]で行えます。
【参考】
どこまでがっつりやるかによると思いますが、せっかくですから光の強さを現実の蛍光灯の強さと同じにしてみましょう。直径3.2cm、長さ1.2mで40W形の蛍光管の全光束がだいたい4000[LM](ルーメン)のようですから、これをカンデラに変換すると318.31[Cd]となります。簡単化のため300[Cd]としましょうか。
参考:明るさ計算 – TOM’s Web Site
参考:直管形led蛍光灯 40w形蛍光灯(hf32w形蛍光灯)代替4200ルーメン – AMAZON
これだととんでもない明るさになってしまいますので、UE4カメラの明るさを抑えます。
[Post Processing Volume]を置いて、
[Lens][Exposure][測光モード]を「Manual」にしましょう。
大半の方がこの時点で画面が真っ暗になってしまうと思いますが、焦らず次の設定をしましょう。
[Lens][Camera]で[シャッタースピード]、[絞り]、[ISO]を調整してみましょう。屋内の撮影経験があるかただとだいたい想像付くと思いますが、実際の撮影と同じ位の設定値にするとちょうどよい明るさになります。ちゃんとシミュレートできているってことですね。例えばこんな値です。
シャッタースピード=10
ISO=3200
絞り=11
【注意】
回転(X, Y, Z)=(0, 90, 0)にしないこと。見た目は正しいのですがライティングのビルドをすると無回転扱いとなり、計算結果がおかしくなります。
丁度いい場所に置きましょう。このとき
壁などに映ったライトの境界がクッキリしすぎていて、ぼかしたい場合は[Attenuation Radius]値を変更するのが早いです。
厳密に言うとこれは見栄えのためでしかなく、予め適正値を決めておくべきです。
施工方法による違いを比べてみる
では準備ができましたので、施工によってどのように光の出方が変わるのか実験してみましょう。
1.なにもしない
単純にポイントライトだけ置いた場合。見ているだけで目が痛いです。
2.天井と平行に板をおいて隠してみる
段違いの天井から水平に板を伸ばしてみた場合です。
この真下にいる人はいいでしょうが、部屋の端にいる人は直接光が見えてしまうため、いけません。
3.垂直な板をおいて遮ってみる
さらに垂直な板で直接光を完全に遮断してみます。
このときリアルタイムでビルド前だと反射光などがそれほど精度はよくないですが、だいたい予想が付くくらいの光を見せてくれます。
とりあえずライトと同じ高さに板を置いてみます。
光の伸び方がちょっとイケていませんね。短すぎます。
4.垂直な板の長さをいろいろ変えてみる
ということで板の長さを変えてみます。
これ以上短くするとライトが直接見える可能性があるのでNG。長くします。
・2.0倍の長さにしたとき
ちょっと隠れすぎですね。もう少し短くしましょう
・1.4倍の長さにしたとき
ちょうどよいのではないでしょうか。
完成
こんなことがビルドする前にある程度予想できるので是非活用したいところです。
参考サイト
・書籍:Healing Lighting 建築化照明でつくるグラデーション 家元あき
・明るさ計算 – TOM’s Web Site
・直管形led蛍光灯 40w形蛍光灯(hf32w形蛍光灯)代替4200ルーメン – AMAZON