【建築】金沢21世紀美術館/妹島和世+西沢立衛/SANAA

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 SANAAの代表作のひとつ、金沢21世紀美術館です。

ネットギャラリー

 展示はSpace Dです。会場をよりSANAAっぽく改装してみました。

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 美術館というと、カネを払わないと見れないし(こりゃ当然か。当時は。)、窓ひとつすらない空間を決められた順路に歩かされているというか、見たくて行ったはずなのに見せられているというか、自由に感想を表現するわけにもいかず息苦しくて・・・でもカネ払ってんだし極力楽しまんと――といった思いを少なからず持つことはあると思います。仮にこの不満を潜在的に持っている人が多いとしましょう。
 要は、もっと開放された空間で気楽に作品が見れたらなあ、と。

中が見える、境目のない美術館

 そんなときに現れたのが金沢の美術館。外壁はすべてガラスで中は全部見えていて、有料の作品もがんばれば少し見えちゃう。広場のいち建物のようで入りやすく、公共施設としての役割もあるのでカジュアルさがあり賑やか。見たい作品があったらカネを払ってじっくり見ればよいのです。
 この美術館は上記であげた不満をすべてを解消してくれた意味合いの大きい作品だと思います。行くことでその理解はより深まります。

 より調べようと思うと「正しい/間違った美術館の~」といった内容も出るでしょうが、皆さんならそれこそ誤りであると理解できていると思います。
 美術とは、正解もなければ間違いもない世界。数学じゃない。それが明示的に境界として存在していたもの――つまり窓ひとつない建物の外壁――が美術館だったわけです。都内某所みたいな存在-料金を払ってある仕切られた閉空間を跨げば、ロープを使用しようが顔面に乗られようが赤ちゃん返りしようが、表現の自由が100%担保されます。
 しかし2004年を境に時代が変わった。すべてが開放されたわけです。好きな順に・みたいものを見て、おしゃべりしたけりゃいったん通路に出ればいいし(通路に出れば賑やかだ)、気が済むまで楽しめばよいのです。公園の一部のような美術館を完璧に体現しています。

 入口は東側にあり、入った時点では、レイアウトを本気で理解しようとすればただの迷路です。しかし円形のうち中央が有料ゾーン(有料)、外周が交流ゾーン(無料)となっていますから、そのたった2つのことだけを頭に入れていればそう迷うこともありません。


Photo by Glass Plaza旭硝子


街のような展示会場

 屋根高さはフラットですが、展示室の高さも様々で高さの分だけ突き出ているのが特徴的ですよね。一番大きい展示室で高さ12mですから相当高い。展示する者から見ても大小様々なバリエーションを持つ美術館は魅力的で、自分の意図する展示手法に合うスペースがきっと見つかるでしょう。1つだけでなく、複数を利用することもよいでしょう。一見ばらばら感を受けるかもしれませんが、非常に合理的でかつ自由裁量を十分に受けることができます。
 西沢氏はこれを「ある意味では街のようです」[引用]と表現していますが、まさにそうだと思います。
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構造的には

 構造担当は佐々木睦朗構造計画研究所。大変難しいプロジェクトだったことが伺えます。
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 最終的には、通常のH形鋼梁に鉄板を貼り、さらにその上にコンクリートを打つことで通常の梁に比べて4倍近い剛性を確保したとのことです。
 詳しいことは10+1 WEB SITEに書かれていますので読んでみるとおもしろいと思います。


Photo by 10+1 WEB SITE


ギャラリー

 すべての写真をFlickrで見る

  • Coin-operated locker of Art Museum & Library, Ota (太田市美術館・図書館)
  • Coin-operated locker of 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa (金沢21世紀美術館)
  • Library space in 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa (金沢21世紀美術館)
  • Indoor of 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa (金沢21世紀美術館)
  • Sanaa chairs in 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa (金沢21世紀美術館)
  • Metallic 100% balls in 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa (金沢21世紀美術館)
  • Golden Man in 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa (金沢21世紀美術館)
  • Golden Man in 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa (金沢21世紀美術館)
  • Wall art in 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa (金沢21世紀美術館)
  • Stairs to ground floor of 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa (金沢21世紀美術館)
  • Stairs to ground floor of 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa (金沢21世紀美術館)
  • Indoor of 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa (金沢21世紀美術館)
  • Crazy pool in 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa (金沢21世紀美術館)
  • Crazy pool in 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa (金沢21世紀美術館)
  • Facade of 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa (金沢21世紀美術館)
  • 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa (金沢21世紀美術館)
  • Exterior view of 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa (金沢21世紀美術館)715
  • Colour activity house (カラー・アクティヴィティ・ハウス)
  • 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa (金沢21世紀美術館)
  • Tiny train in front of 21st Century Museum (金沢21世紀美術館)
  • Exterior of 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa (金沢21世紀美術館)


建物概要

21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa (金沢21世紀美術館).
Architect : Kazuyo Sejima + Ryue Nishizawa / SANAA (設計:妹島和世+西沢立衛/SANAA).
Contractor : Takenaka Corporation (施工:竹中工務店、ハザマ、豊蔵、岡、本陣JV).
Completed : September 2004 (竣工:2004年9月).
Structured : Reinforced Concrete (構造:鉄筋コンクリート造 鉄骨造).
Costs : $183 million (総工費:約183億円).
Use : Art museum (用途:美術館).
Height : ft (高さ:14.9m).
Floor : 1 (階数:1階).
Floor area : 183,729 sq.ft. (延床面積:17,069㎡).
Building area : 103,893 sq.ft. (建築面積:9,652㎡).
Site area : 290,243 sq.ft. (敷地面積:26,964.5㎡).
Location : 1-2-1 Hirosaka, Kanazawa City, Ishikawa, Japan (所在地:日本国石川県金沢市広坂1-2-1).

使用機材

Nikon D600
Tamron SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD
Tamron SP 70-300mm F/4-5.6 Di VC USD

Adobe Photoshop
Adobe Photoshop Lightroom

Unreal Engine 4
WebGL
HTML5
    


参考サイト

美術館について – 金沢21世紀美術館
年間150万人来館者のある「金沢21世紀美術館」 – 日本共産党 村上あつ子
金沢21世紀美術館概略 – Glass Plaza旭硝子
「自由な骨組構造」2──《金沢21世紀美術館》を中心に – 10+1 WEB SITE
妹島和世インタビュー:新しい公共性について──2000年以降の建築実践 – artscape
自作について 西澤立衛 – 東西アスファルト事業協同組合講演会


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