【建築探訪】静岡県富士山世界遺産センター/坂茂建築設計
初夢で千代の富士・加藤鷹・なすびの3人を見ると縁起が良いとは言ったものですが(違)、やっぱり富士山を見ると心が洗われますよね。そんな富士山を額縁に収めたかのようなフレーミングでじっくり鑑賞できる施設、静岡県富士山世界遺産センターが2017年12月23日にオープンしました。この建物の設計を手がけたのは坂茂氏ということとデザインの天晴さで当初から注目を浴びていました。
どうにかしてライトアップを撮りたいなと思い、冬になれば17時には日が落ちるので撮れるぞ、ということで先々月におじゃま。
建物の概要としては、世界遺産である富士山を保護、保存、整備をし、将来の世代へ伝えることを確保する拠点施設として、また学術調査機能などをあわせ持つ施設として作られた。とのことです。
なお展示部分の設計には丹青社が担当しているようです。
建物
なんと言っても、なんと言っても外観の『木でできた逆さ富士』がすべて! というわけではありませんが、建物の特徴を決定づけるほどのインパクトがあります。富士ひのきをしかも編み込むように組み上げていて、なんと言うのが最適でしょうか、これ自体が唯一無二のアート作品のように見えます。
建物の手前に大きな水盤が用意されていますが、これは坂氏が「富士の水の循環と反映」をテーマにしていることから設置されたとのこと。
内部に入ると『木の逆さ富士』はより一層存在感を増して建物中心にどっしりと構えています。逆さの円錐台の形というと若干不安定さを拭えないはずなのに、この構造には絶対的な安心感を不思議なまでに放っています。富士パワー? 施設の他の部分を見ると、驚くほどにシンプル。
1階にはおみやげコーナーと図書スペースがあります。図書はもちろん富士山関連ばかり。写真集なんかもたくさんありましたので、ついつい長居してしまいました。どことなく居心地が良い空間だし。
そして、展示スペースに案内されたときに、この『木の逆さ富士』の正体がわかります。これは飾りではなかったのです。中は円錐台をめいいっぱいに利用した展示空間だったのです。
265インチの4K解像度を持つモニタが何十個も連続していて、それぞれに富士山をテーマにしたタイムラプス映像が流れています。順序も考慮されていて、見ながら歩いていくと、映像も徐々に標高が高い場所で撮影された作品へと変化していって、あたかも自分が富士山を登っている気分にさせてくれるというプレゼンテーションになっていました。これは面白い。
Image from 世界遺産ニュースレータVol.35 – 静岡県富士山世界遺産センター
螺旋スロープを登りきるとお楽しみがある
はいおまたせしました、ですね。映像を見ながら10分ほどでしょうか、登りきると展望ホールのお待ちかねです。ここで皆心が洗われます。この日は晴天だったこともあって老若男女が歓声をあげていたのが印象深かったです。
映像シアターもなかなか楽しめましたし、ミュージアムショップも結構個性的で楽しい。正直言うと、さっさと見学して、撮ったら帰ろかな的なノリで行きましたが、意外と2時間くらい居てしまいました。
16:30には日の入りでしたから、いいタイミングで外観を再撮影できて本当に満足です。
見学、撮影許可
撮影:外観OK。内観は概ねOK。螺旋状の展示スペースはタイムラプスの映像作品はOK。
ただし中心部の資料展示はNG。
映像シアター、富士山ライブラリ、企画展示室はNG。
見学:入場料を払う。
Lobby space from 1st floor. The reverse cone knitted timber close in on me.
ギャラリー
すべての写真をFlickrで見る。
建物概要
Mt.Fuji World Heritage Centre, Shizuoka (静岡県富士山世界遺産センター).
Architect : Shigeru Ban Architects (設計:坂茂建築設計).
Contractor : Sato Kogyo (施工:佐藤工業、若杉組JV).
Completed : 23 December 2017 (竣工:2017年12月23日).
Structured : Steel frames (構造:鉄骨造).
Costs* : 41 million USD (総工費:約41億円). *USD/JPY=100.00
Use : Museum (用途:博物館).
Height : ft (高さ:18.515m).
Floor : 5 (階数:地上5階).
Owner : Shizuoka Prefecture (発注者:静岡県).
Floor area : sq.ft. (延床面積:3,400㎡).
Building area : sq.ft. (建築面積:2,000㎡).
Site area : sq.ft. (敷地面積:6,100㎡).
Location : 5-12 Miyacho, Fujinomiya City, Shizuoka, Japan (所在地:日本国静岡県富士宮市宮町5-12).
施設情報 (Admission)
営業時間:9:00 – 17:00 入館は16:30まで。7月、8月は9:00 – 18:00 入館は17:30まで。 (Opening hours)
休館日:毎月第三火曜日。施設点検日。年末年始12/27 – 1/3 (Closing day)
入場料:300円 (Admission fee)
アクセス (Access)
富士宮駅から徒歩の場合。
【徒歩】
時間:約8分
※2019年1月21日現在の情報。念のため公式サイトをご確認ください。
使用機材
ボディ:SONY α7Ⅱ
レンズ:TAMRON SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD
レンズ:TAMRON SP 70-300mm F/4-5.6 Di VC USD
マウントアダプター:RAYQUAL NF-SαE
現像:Adobe Photoshop Lightroom