【UE4】BlenderのSend To Unrealアドオンを活用したワークフローで和室だらけの家を作りたい (1)
過去に2度ほど和室を作ってきましたが、あれは中途半端な寸法で見た目がそれっぽければOKという代物だったものですからどうも蟠りが残っていたわけですが、今回は寸法などもガチでキッチリ合わせて作ってみます。お寺とかってよく見ますが、和風の住宅ってめったにお目にかかれません。というより寸法が1モジュール91cmだったりとにかく色々とマニュアルにない寸法のお作法とかがあまりにも細かすぎて、日本人でもそんなによくわからんというのに。
ということでやる。今回はBlenderのアドオンであるSend To Unrealをうまく活用して進めいていこうと思います。
うまく使うというのは、家のパーツの中でも大きく2分類:躯体と家具類とでわけて作業してみたいなと考えています。
躯体:床、壁、天井、屋根などのことです。作る家によって形状が大きく変わるものを指します。
家具類:これらは製品ごとに形状が確定しているので、UE4でボコボコ置いていくだけです。
Blenderで躯体を作ってはSend To Unrealでメッシュを転送して、UE4でマテリアルをあてていく方法でやっていきましょう。
家具類は必要に応じて現地調達(=自作)します。どうせネットに落ちてないから作ったほうが絶対早いです。自作はBlenderを使います。
やっていこう
ちょっとですね、ゴールを決めていないので何回に分けてアップしていくかわからないのですが、お付き合いいただければ嬉しいです。
動画版
Blender:躯体を作る
作るとか言いつつも本気で全部Blenderでやると死んでしまうので、別途建築設計のソフトで一旦家を作りました。寸法はmm単位で完璧に整合性がとれています。
ところで、ノード構成があまり意図したものではないので自分の望む構成に再グルーピングしました。次のように分けてみました。
屋根:屋根面、屋根付帯、軒裏
床:床面、畳面、床の間、廊下、玄関
壁:部屋の壁、廊下の壁 (たぶん後で部屋単位に細分化します)
天井:部屋の壁、廊下の壁
Blender:Send To Unrealで転送する
さてSend To Unrealを使いましょう。
予め転送したいメッシュは全部[メッシュ]ツリーの下に置いておきます。ルールです。
あとはメニュの[Pipeline]でを押すと、UE4側で非同期に受信していきます。なので処理中も視点移動とかは一応できます。
注意:転送処理中に保存とかビルドをするとフリーズすることがある。
UE4エディタを複数起動しているときは先に起動した方に転送されるようです。PIDで決めてるのかもしれませんけど。
転送されたら階層が増えていますのでスタティックメッシュを全部選択して、ワールドに配置します。すべてのメッシュ原点はBlender側での原点に設定されていますので、全部のメッシュを選択して、Locationを初期値(X,Y,Z)=(0,0,0)にすると、位置関係がピッタリ一致します。
よしこれで準備完了。
UE4:柱を置いていく
躯体は出来てるので柱を置いていこう。これもBlenderでやったほうがいいかもしれないのですが、個人的には構造体(主に柱)はBlenderで1本だけ作り、UE4で拡大縮小して使いまわす方法の方が好きです、やりやすいから。経験則ですけど。
・この方が柱の太さや丸木との入れ替えが簡単
・UE4側での構造表示のビジュアライゼーションとかもやりやすい。
・ライトマップとかの都合とかで個別にしておいたほうがベイク後もキレイさが安定するから。
柱のサイズは8寸(24x24cm)で、面取り(ベベル)は1cmにしてあります。スムージングはしません。
24cmで作りましたが、基本は太さ50%の12x12x300cmの状態で配置していきます。重なる部分が出てきますので、太くする側は太さ55%の13.2×13.2x300cmで置く方針で。
アクセントで100%のまま置いたりします。框とか。
※框(かまち):玄関の床と地面の境目にある太い木のことです。
柱は一回ルールを決めてしまえばポンポン置くだけなので割と簡単です。基本的にはこんな感じで。
家の中は、水平向きを太い方(55%)にします。
家の外は、垂直向きを太い方にします。
UE4:敷居と鴨居を置く
次に敷居と鴨居を置いて行きましょう。「敷居をまたぐな!」の敷居です。その名の通り、敷居が地面側、鴨居が天井側ですが、この2つは図形的にはかなり似ているので、
・敷居は、薄めに作っておきます。
・鴨居は、敷居を使いまわしますが、X軸で180度回転して、厚みを4倍くらいにすると、厚みや溝の深さが大体鴨居になります。(ガチとか言いつつこのあたりは妥協した。)
原点を上端にしておくと、畳~敷居~床がほぼフラットになるので配置が楽です。
柱と鴨居、敷居を置いたところ。これだけでもかなり家として出来上がってきていますね。竣工直後って感じ。
UE4:畳を敷く
さて畳を置きます。180x90x3cm。面取りを1mm程度でスムージングをかけておくと、置いたときに自然なAOの影が出てきます。
畳と畳縁のテクスチャは自宅のそれを撮影したもので、陰影などの情報をベースに他のマップも作って、マテリアル化したものです。質の高い畳マテリアルが無いから作った。
今回はそんなに近づく予定もないのでParallaxじゃない方を使いました。
これもポンポン置いていきます。一番楽な作業です。
余談:畳の置き方
畳の配置には吉と凶があるので意識したいですね。私も3年前に知ったんですけど。
UE4:床の間
床の間はちょっと大きめにベベルした直方体を用意。
UE4:書院
このあたりはパーツが似ているので、とかはBlenderで作っておいて、UE4ではめ込む方法を採りました。そうすれば「上の引き出しだけ他の部屋で使いたい」ときとか「だけ高さをずらしたい」みたいなときにUE4側で調整が楽です。
ちなみに筆落としは4種類自作してます。カーブが大活躍。
UE4:オブジェクトを置く
過去に作った掛け軸やら、花瓶とマテリアルを置いてみます。
現在の成果
こんな感じになりました。まだまだこれからです。
次は廊下と外窓を一工夫した、次の部屋を作りたいと思います。
参考サイト
・Japan Style
・和のデザインハンドブック
・京町家
・続よみがえる京の町家
・住宅建設図面の見方・かき方
・間取りと架構の教科書
・外沢山の本
・Architecture Photography by others – Pinterest