バレンシアCFの財政面からみるポジションの選択ミス

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2000年頃に繁栄を極めた、スペインリーグの名門クラブ、バレンシアCF(Valencia Club de Futbol)。
VALENCIA CF

このクラブは、2005年を過ぎたころから急激な財政難に陥り、
しまいには崩壊に近い状態にまでなった。

いったい、何があったのだろう?

Ferran Soriano氏の本を参考にまとめてみた。

まず、財政面で見れば、
スペインリーグ内で上位に居続けることを目的にしているレベルであり、
  ・ある程度の予算内でやりくりをして、上記目標を達成し続けること。
  ・いい選手を生み出すことができれば、そこそこ値段のときに売ること。
こんな感じでやりくりをするポジションにいる。

アメトーークで言うところの、博多大吉である。 (!?)

国内で上位に食い込むということは、
スペインでは、チャンピオンズリーグに出れるということになるが、
ここで、ポジションの決定をする必要が出てくるタイミングが合って、
  1.思い切って投資を増やし、CLの上位を目指すか、
  2.CLは出れるけど、あくまでも、うちは国内でトップレベルのチームです
という2つのうち、どちらかに戦略を定めなければならないそうだ。

バレンシアのようなポジション自体が中途半端であるためかと思う。
「おれたち、もしかしてCL優勝できるんじゃね?」と思い上がれば、1を選択する。
1は、まれに大成功するクラブもいるが、大体は道半ばで成績が急激に悪化し、失敗する。パルマとか、リーズとか。

2000年代前半、バレンシアは2で行くことにはっきりと決めた。

しかし、
CL99-00、00-01シーズンにて、2年連続ファイナル進出(どっちも準優勝)に輝き、
01-02、03-04に国内リーグ優勝、
03-04にUEFAカップ優勝等など、
本来、バレンシアの予算では成しえることが難しいタイトルに恵まれ続ける。

なぜ強かったのか。
もうお分かりのとおり、選手に金をかけていたからである!
けっこう無茶をしていたそうだが、
しかし、当時の会長がとても優秀な方であったため、
「選手予算1.5Mユーロ以下」は厳守されていたそうだ。

新スタジアム建設も、会長の方針により150Mユーロの予算で作るつもりだった。
VALENCIA CF

2004年、財布を握り、適切にコントロールしていた会長が去ってしまう。

この直後から、バレンシア首脳陣の暴走が始まる!

当初の新スタジアムの建設予算は、3倍の450Mユーロに引き上げられ、
クラブ本来の財政とはかけ離れた高級な選手の補強を繰り返し、
本来の財政であれば、強くなりすぎて、高給取りになった選手を放出するはずが、引き止めておいてしまった(引止料も発生)。

2004~2006あたりの、主な補強選手を見てみる。
コッラーディ、ディ・ヴァイオ、クライファート、モリエンテス、エドゥ、フィオーレ、デル・オルノ、ヒルデブラント・・・。
(こう見ると、全員、伸びなかった人を獲っていた!!笑)

ホアキンとかも無茶があったような・・・「そこまで出すか!?」って感じだった。

「どこから金が沸いてくるんだ?」といわんばかりです。
ていうか、資金はどうやって調達したのか。

不動産投資に手を出していた。しかもハイリスク型の!
(当時の西ヨーロッパは不動産バブル気味であった。よね?)

こんなことを続けているうちに、もちろん、財政はすぐに崩壊する。
投資もあまりうまくいってなかったようです。

しかしフロント側は隠そうとする。
選手たちは高給取りであるため、さらに高額な給料を要求する。
すると、双方の関係はとても悪いものになる(金の切れ目が縁の切れ目!)。

クーマンと選手の問題は、若干の別件としても(当時の会長と組んでいたみたいな噂があるが、事実不明)、最悪を極めていたことには間違いなかった。

現在は市から融資を受け、前任の会長が復帰!して、徐々に改善しつつあるようで。

会社もそうだけど、
マーケットにおける、自社ポジションの認識が正しく、現実的であり、
将来の方向性は適切かを見極められないと、失敗することになるということでしょうか。
確かに、当時のバレンシアの選手移籍はおかしいものがあった(何でその選手を獲った?のか、理解に苦しむものがとても多かった記憶はある)。

能力が高い会長が再任した。ということは、財布もまた適切になるかもしれない。
そうなると、シルバやパブロ、もちろんビジャあたりは、
そろそろ売られて然りかもしれませんな。
シルバ売り時やろ~~~。

ちなみにバレンシアは現在でも年間100Mユーロ近くの収益があるようです。
以下、収益とクラブのポジションを参考。
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1:欧州制覇を目指す(200Mユーロ)・・・レアル、マンU、ACミラン等
2:利益を出しがら、国内でトップを走る(100Mユーロ)・・・リヨン等
3:国内でそれなりのポジションを確保(50Mユーロ)・・・サウサンプトン等
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僕にとってのバレンシアは、左からキリが強烈な攻撃を見せ、右からはメンディエタが華麗にサイドを攻略し、中央にはアイマール、前線には長身のカリュー、爆速のクラウディオ・ロペスが楽しいサッカーを見せてくれていたころである!(僕が何歳か、思いっきりばれる 笑)



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